結婚自体が契約って本当？夫婦の法律関係について弁護士が解説
結婚と契約
ドラマ「逃げ恥」、「結婚契約」が話題になってしばらく経ちます。
その影響もあってか、最近
- 契約結婚
- 結婚契約
- 婚前契約
- プリナップ
というワードが人気ですね。
恋愛感情からスタートするのではなく
こんな共同生活を送ろうという約束＝契約
からはじまる新しいタイプの結婚が注目されています。
契約結婚と聞くと、なんだか身構えてしまいますね。
普通の結婚と契約結婚は全然違うものなのでしょうか？
弁護士に聞いてみました。
結婚は契約？
Q 普通の恋愛結婚と契約結婚って随分違うように思えるんですけど、弁護士の目から見たらどうなんでしょう？
A 皆さん、普通の結婚というのは、恋愛結婚を想定しておられます。恋愛というのは感情です。だから、結婚も、契約とは無縁だと思うかもしれません。しかし、結婚生活の基本的な枠組みは、民法という法律でカッチリと決められています。結婚生活に入るというのは、民法が決めている結婚生活のルールに従います！という一種の契約なんです。
Q そうなんですか？入籍したら、どんな契約（？）を結んだことになるんでしょうか？
A たくさんありますよ。ざっと挙げてみますね。
- 苗字を一緒にする契約（民法７５０条）
- 同居し、協力し、経済的に助け合うという契約（民法７５２条）
- パートナー以外とセックスしないという契約（民法７７０条１項１号）
- 結婚後に築いた財産は、パートナーとの共有になるという契約（民法７６０条）
- 先にパートナーが死んだら、その財産を相続できるという契約（民法８９０条）
Q わー、いっぱいありますね。入籍するだけで、これだけの契約を結んだことになるんですね。
A そうです。もちろん、いまお話した契約は、離婚と同時に消滅します。そして、この契約は全部強制力がありますよ。
Q そうなんですか。苗字は分かるんですけど。他の契約について教えてください。
A 同居、協力、助け合うという約束を破った場合、相手に生活費の分担を求めることができます。拒否しても、裁判を通せば差し押さえまでできてしまいます。
年収４００万円くらいの夫と専業主婦の家庭だと、妻が請求すれば、月４万円位は支払う義務があります。
他の人とセックスしないという約束を破ると、慰謝料を請求できます。慰謝料は５０万円から３００万円くらいになることが多いです。
財産を共有にするという約束は、離婚の時に重要になってきます。結婚後、夫の稼ぎで買った夫名義のマイホームの半分は、離婚のときに渡すように請求できます。預金も同じです。
相続に関する契約は、とっても重要です。もし、夫の実家が大金持ちだとしましょう。夫の両親がなくなっていると、その遺産は夫が相続します。その夫がなくなると、その遺産を今度は妻が相続します。つまり、夫の実家の財産がすべて妻のものになってしまう可能性があるんです。
Q 結婚ってものすごい効果があるんですね。実家の財産が全部相手のものになる可能性があるって結構すごいですね。この効果は全部強制的に発生しちゃうんですか？
A そうです。婚姻届を出したら、離婚届を出すまでの間、強制的に発生します。
結婚は契約
このように考えると、結婚って、かなり過激な契約ですね。
しかも、勝手に効果が発生するというのがすごいなーと思います。
あまり深く考えずにいたら、結婚後の財産を全部パートナーにとられてしまったり、実家の財産を全部パートナーに取られてしまうということもありえます。
また、相手が無職になったら生活費を請求されてしまうこともあります。
貯金をためて買った大切な車の半分をパートナーに取られてしまうなんてこともあるんですね。
結婚って結構すごい契約だと思いませんか？
恋愛感情だけで突っ走って、深く考えずに結婚してしまうと、後から取り返しがつかないことにもなりかねません。
契約結婚と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、普通の結婚もかなりきちっとした現実的な契約なんですよ。
しかも、契約内容が勝手に決まってしまいます。
契約結婚も普通の結婚も、ある意味契約です。
しかし、契約結婚は、普通の結婚と違って、契約の内容をきちんと話し合って決めることができます。
恋愛感情があっても、結婚という契約を結ぶかどうかはひとそれぞれ。
あなたは、契約内容が勝手に決まってしまう普通の結婚でいいですか？
それとも、自分たちできちんと契約内容を決める契約結婚を選びますか？
契約結婚を特殊なものではなく、身近なものに感じてもらえて、選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
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婚前契約の法的効果については、以下の記事で詳細に解説しています。
